新規学部開設を成功に導く―競合学校のネット風評調査


大学や専門学校が新規学部を開設する際、成功の鍵を握るのは「受験生や保護者が本当に求めているもの」を正確に把握することです。しかし、従来のアンケート調査やオープンキャンパスでの意見聴取だけでは、本音の部分まで掴みきれないことも少なくありません。

そこで注目されているのが、ソーシャルリスニングを活用した競合学校学部のネット風評調査です。今回は、実際に教育機関からご依頼いただいた事例をもとに、この手法がどのように新規学部開設のマーケティング戦略に貢献するのかをご紹介します。

なぜ今、ネット風評調査が必要なのか

受験生や保護者は、学校選びの際に必ずと言っていいほどインターネットで情報収集を行います。大学の公式サイトやパンフレットだけでなく、口コミサイト、SNS、掲示板、Q&Aサイトなど、さまざまなプラットフォームで「生の声」を探しています。

こうした場所では、オープンキャンパスでは聞けない本音――カリキュラムへの不満、施設の使い勝手、就職実績の実態、教員の評価など――が赤裸々に語られています。これらの情報は、新規学部を設計する上で非常に貴重なヒントとなります。

従来のマーケティングリサーチでは拾いきれなかった「潜在的なニーズ」や「競合の弱点」を発見できるのが、ネット風評調査の最大の強みです。

実際の調査プロセス――どのように進めるのか

今回のケースでは、ある教育機関が新規学部開設にあたり、競合となる学校・学部に関するネット上の評判を包括的に把握したいというご要望でした。調査は以下のステップで進行しました。

1. 調査対象の選定

まず、競合となる学校・学部を明確化します。同じ地域、同じ分野、同じ偏差値帯など、複数の軸で競合を選定することで、より精度の高い比較分析が可能になります。

2. 情報収集の実施

学校関連のコミュニティサイト、口コミプラットフォーム、SNS、掲示板などから、競合学校・学部に関する投稿を収集します。この段階では、可能な限り幅広く、偏りなく情報を集めることが重要です。

3. 要素別の分類

収集した情報を以下のような要素別に分類します。

  • カリキュラム・授業内容:講義の質、実習の充実度、専門性など
  • 施設・設備:キャンパスの環境、図書館、研究施設など
  • 就職・キャリア支援:就職率、就職先の質、キャリアサポート体制など
  • 学生生活:サークル活動、学生の雰囲気、イベントなど
  • 教員・スタッフ:教員の質、対応の良さ、研究実績など
  • 立地・アクセス:通学の利便性、周辺環境など
  • 学費・奨学金:コストパフォーマンス、経済的支援制度など

4. ポジティブ・ネガティブ判別

各要素について、ポジティブな意見とネガティブな意見を判別します。単純に良い・悪いだけでなく、「どの程度強い意見か」「どれくらいの頻度で言及されているか」も考慮します。

5. 相対比較レポートの作成

競合校同士を比較し、「A大学は就職支援で高評価だが施設面で不満が多い」「B大学はカリキュラムの実践性が評価されている」といった形で、各校の強み・弱みを可視化します。

このレポートにより、自校がどの部分で差別化を図るべきかどのような訴求ポイントを打ち出すべきかが明確になります。

調査結果がもたらす具体的なメリット

メリット1:受験生の本音を知ることができる

アンケートでは「建前」の回答しか得られないことがありますが、匿名のネット上では本音が語られます。「実際に通ってみたらこうだった」という生の声は、新規学部の設計において非常に参考になります。

メリット2:競合の強み・弱みが明確になる

競合がどこで評価され、どこで批判されているかを知ることで、自校の新規学部をどのようにポジショニングすべきかが見えてきます。競合の弱点を補う形でカリキュラムや施設を設計すれば、受験生にとって魅力的な選択肢となります。

メリット3:マーケティングメッセージの最適化

調査結果をもとに、受験生や保護者が本当に知りたい情報、重視しているポイントを訴求することができます。パンフレットやWebサイト、オープンキャンパスでの説明内容も、データに基づいて最適化できます。

メリット4:リスクの事前回避

競合校で不満が多い点を事前に把握しておけば、自校でも同じ失敗を繰り返さないよう設計段階で対策を講じることができます。開設後のクレームやネガティブな口コミを未然に防ぐことにつながります。

データドリブンな意思決定の重要性

新規学部開設は大きな投資を伴うプロジェクトです。勘や経験だけに頼るのではなく、客観的なデータに基づいた意思決定が求められます。

ネット風評調査で得られるデータは、受験生や保護者の「集合知」とも言えるものです。何千、何万という人々の意見を集約し、傾向を分析することで、個別のヒアリングでは見えてこなかった大きな流れが見えてきます。

また、調査は一度きりで終わるものではありません。開設後も定期的にモニタリングを続けることで、自校の評判がどう変化しているか、改善すべき点はどこかを継続的に把握できます。これこそが、真のデータドリブンマーケティングです。

ソーシャルリスニングで教育の未来を切り拓く

教育機関のブランド価値は、一朝一夕に築かれるものではありません。しかし、受験生や保護者が何を求め、何に不満を感じているかを正確に把握し、それに応える努力を続けることで、確実に信頼は積み重なっていきます。

ネット上に散らばる無数の声は、単なる「雑音」ではありません。それは、教育機関にとって貴重なWEB情報資産です。この資産を適切に収集・分析し、戦略に活かすことで、競争力のある魅力的な学部・学科を生み出すことができます。

新規学部開設を検討されている教育機関の皆様、ぜひソーシャルリスニングという新しい視点を取り入れてみてはいかがでしょうか。データに裏打ちされた戦略は、必ずや成功への道を照らしてくれるはずです。


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